富士山日記 富士山測候所に住んでみて
標高3776メートル、日本でいちばん高い住まいから。
富士山特別地域気象観測所、むかしでいう富士山測候所がいまの僕の住まい。ここは気象庁が2004年秋に有人観測を終えたあと、夏の2ヶ月間だけを「NPO法人・富士山測候所を活用する会」が借りて受けている建物だ。日本でいちばん高いこの場所で、大気科学や高所医療、生態学・永久凍土、放射線科学など様々な研究者が、ここでしか採れない貴重なデータを観測している。加えて、高所順応トレーニングや青少年へに向けての自然体験・教育、無線通信の実験など、標高3776メートルの活用分野は多岐にわたる。僕はというと、研究者の一員として、この建物の暮らしがどのようなものか、住まいとしての性能はどんなものなのかを調べるために、ここに居る。2004年以前は、気象庁の職員は3週間交代でここに勤務していた。だったら僕も3週間ここに住んでみよう。
村上 祐資
むらかみ ゆうすけ
1978年7月生まれ。極地建築研究者。
建築と人間の関わりを、極地というフィールドに自分の身を置きながら調べている。
第50次日本南極地域観測隊・越冬隊員。建築学士。政策・メディア、環境デザイン学修士。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程。
PROFILE